「光ヲ彫ル」作品解説

2017年12月10日-paper-cutting 切り絵

約三週間にわたる展示も残り一週間となりました。おかげさまでたくさんの方にご覧いただき、時間によって光線の加減で見え方が変わると、リピーターの方もおられ本当にありがたいです。
ここで、会場に設置している作品キャプションを掲載します。ご参照いただけましたら幸いです。

縒合(よりあい) 飛鳥アートヴィレッジ出品作
2016年 素材/合成紙(協力(株)キヌガワ) 技法/切り絵(手彫り) サイズ/1.1✕6m
“YORIAI” Megumi Mochizuki 2016 Paper-cutting(cut by hand)

明日香村に伝わる伝統行事、伝承芸能を芸能に取材し、制作した作品。
取材を通して、農村にとって命の水、水源がとても大切にされていることを知り、水神である龍神の存在に各所で出会いました。また明日香村においては、男綱女綱のカンジョウ掛けや飛鳥坐神社における夫婦和合の儀式おんだ祭、八雲琴の白と青緑で天地を表す二色の弦といったように、様々な事象に「陰陽」が見え隠れします。ここから二頭の龍が縄のように縒り合うイメージが膨らみ、作画しました。龍の通ったあとに、雲が湧き雨が降り、稲穂が実る様を光の粒を彫りこんでいます。
行事や芸能を通して脈々と受け継がれてきた祈りの心に触れ、誕生した作品です。

切り絵掛軸無限菊
表装協力:(株)岡墨光堂
2017年 素材/手漉き和紙(協力:福西和紙本舗) 技法/切り絵(手彫り)
“Mugen Kiku” Megumi Mochizuki 2017 Paper-cutting(cut by hand)
hanging scroll/Oka Bokkodo material/Japanese paper(Fukunishi Washi Honpo)

羽衣菊
2017年 素材/紙 技法/切り絵(手彫り) サイズ/0.9✕10m(平面時)
“Hagoromo Kiku” Megumi Mochizuki 2017 Paper-cutting Installation(cut by hand)

通常切り絵は下絵の線に沿って刃を入れて制作しますが、今回「彫ること」に主眼を起き、両作品共に菊文様を下描きなしの状態からナイフ1本で彫り出しています。
インスタレーション作品「羽衣菊」は、10メートルの一枚紙の作品。帯状の切り絵が透けて重なり合い、風に揺れて刻々とうつり変わる今この場でしか見られない光の表情をお楽しみください。
また、床の間の壁から一歩前へ出るように展示した「切り絵掛軸夢幻菊」は、この羽衣の一部を切り取ったかのように、本紙の切り絵を裏打ちなしで透かせたまま掛軸にしています。長い伝統に培われた手仕事の高度な技術にもご注目ください。

切り絵掛軸鳳凰図
表装協力:(株)岡墨光堂
2017年 素材/手漉き和紙(協力:福西和紙本舗) 技法/切り絵(手彫り)
“Phoenix” Megumi Mochizuki 2017 Paper-cutting(cut by hand)
hanging scroll/Oka Bokkodo material/Japanese paper(Fukunishi Washi Honpo)

切り絵を本格表装で掛軸にするという、かつてない新たな試みに挑戦した作品。
透ける麻の葉紋で埋め尽くした画面に浮かぶ宝相華、飛来した鳳凰は舞い降りたばかりのように尾羽根を浮き上がらせています。本作は、高麗仏画に見られる繊細な衣から着想を得て制作しました。
主題の鳳凰から薄いベールのような背景まで、全て緻密な手彫りを施した本紙。透過する背景の上に立体の切り絵を載せるという、高度な表装の技術で仕立て上げられています。
切り絵には奈良県吉野の桜で染められた楮100%の手漉き和紙を使用しており、今後百年、数百年と、長い年月にも耐えうる作品を目指しました。淡い桜色の鳳凰と、柔らかな赤の掛軸の裂の取り合わせの妙。切り絵の制作から表装まで、まだ誰も見たことがない美術作品を生み出したいと、一丸となって取り組んだプロジェクトの初公開作品です。