2015年1月

布であること

2015年01月17日-未分類

芹沢銈介の世界展の覚書です。

布と染料が出会って目の前に存在する「色」
その「色」がふくむ、水の気配。

防染糊に向かって染料がたまり生まれる濃淡。生地白の紬の凹凸にほんのかすかに潤む藍。
染めによる作品は、物自体は乾いていても、水の気配を濃くたたえていることがあって、それを強く感じました。

特に引き込まれたはのれん。
のれんは布地が棒によって吊られているので、空間に自然に布のふくらみが生じ、質感がより伝わってくる。

作品という物質と向かい合うこと。
芹沢銈介のデザインの凄まじさは写真を通してでも伝わってきますが、それに加え、実物の作品は、物質そのものの存在感が、圧倒的。
物としての強さが空気ににじみ出ているよう。

今自分が視覚を通して感じているのは、色なのか、布なのか、染料なのか、形なのか、色調の波動なのか、物質なのか、美なのか、技術なのか、作家の魂なのか、そのすべてなのか。

一作品ごとに真剣勝負で観てまわって、へとへとになると同時に、ものすごく勇気がわきました。
これだけの強く美しいものを生み出し、世界へ届けた一組の手。
もちろん助手の方々やご家族、大いなる周囲のサポートがあってのことではありましょうが、汲めども尽きない創作の源泉を枯らさずに保ち続けた作家の一生涯・・・

実はこの展示にお誘いくださったのは、日ごろお世話になっている友禅作家の先生と画家のご友人で、一緒に観て回っていました。
これはきっとご本人は書かれないのでこっそり書いてしまいますが(だからこその「覚書」御容赦ください!)、観終わって、画家のNさんが気づかれました。
会場に、まさにその先生の友禅の帯を締めていた方がいらしたのです。

ものをつくり、世に送り出していくこと。それをたゆまず続けていると、こんなギフトな瞬間がある。
その一瞬に立ち会えたことは、私にとっても、大きな、大きな贈り物でした。

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