2016年10月

綱掛行事 男綱女綱(飛鳥アートヴィレッジ取材メモ4)

2016年10月03日-飛鳥アートヴィレッジ

・稲渕の男綱、栢森の女綱

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青空に浮かぶ奥明日香栢森の女綱。川岸から川岸へ渡された壮大なスケールのお綱掛。

今回飛鳥アートヴィレッジに関わる前にも、明日香村に惹かれ旅行や仕事で来ていたにも関わらず、この綱掛、カンジョウ掛けのことは知りませんでした。

稲渕では成人の日、栢森では1月11日に綱掛行事が行われています。
かつては1月15日に行われ、豊穣への祈り、また、飛鳥の都を潤す飛鳥川上流の大切な水源を守る結界とも言われていますが、起源は定かではないようです。ただ、このあたりに集落のできた頃には遡ることになり、大変歴史ある行事であることに変わりありません。

 

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対岸の丘から丘へ渡される稲渕の男綱。

綱掛けの風習は日本各地にあるようですが、明日香村では稲渕の男綱、栢森の女綱と、男女一対で行われていることが特徴的です。

男綱、女綱、それぞれに掲げられるのは、男女の龍神二神のシンボルです。
延喜式内社である飛鳥坐神社の「おんだ祭」は、男女の交合を種まき・胤付けとして寿ぐ祭りとして有名で、ここでも男女、陰陽和合を大切にする精神が見られます。胤付けは田畑の実りに通じ、豊穣、子孫繁栄への祈りです。
また、巨大なシンボルは、それだけ大きな神様がお守りするところだよという、外界への標しの意味もあるのではないかというお話でした。

もともとはどちらも御神事だったということですが、現在稲渕は飛鳥坐神社の神式、栢森は龍福寺の仏式で行われています。

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綱は明日香民俗資料館で間近で見られます。
綱は大変長く、これだけの稲わらを用意するのは、刈入れにコンバインを使う現在では通常むずかしいことです。明日香村では棚田オーナー制度という取り組みがあり、そのため、稲わらも確保できているそうです。

郷土の祭りは、その土地のなりわい、風土から生まれているように感じます。私は3年間京都の里山大原で暮らし、郷土文化に触れる中でそのことを実感しました。農村では稲わらなど収穫の副材を使った祭りが、山仕事の山間部では藤蔓や竹を使った火祭が、というように。
それが技術の進歩により失われていくことは時の流れなのかもしれませんが、それでも自らの文化として大切に思い、続けられていること。祭りを祭りとして、神様ごとを大切にし、自然の大きな存在を日々の中で感じ続けること。

明日香村という現在に至る歴史の源泉の地で、郷土行事を通しその一端に触れさせていただくことは、土地の記憶、大きな流れを感じる本当にゆたかな経験でした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 栢森の女渕

(飛鳥アートヴィレッジ取材メモ4)

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