南無天踊り(飛鳥アートヴィレッジ取材メモ3)

2016年10月02日-飛鳥アートヴィレッジ

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修復された嘉永六年奉納の絵馬(明日香村民俗資料館

・南無天踊り

大正の初めまで踊られていた雨乞いの踊りです。
明日香村大字橘と稲渕に奉納されていた絵馬や古老のお話を元に、1980年頃から専門家の手により復元され、今に継承されています。

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熱気あるお稽古やお話から、とてもこの踊りを大切にされていることが伝わってきました。
農村にとって雨水は命です。必死の思いで田畑を耕されてきたご先祖様への思いが、この踊りに込められているようです。

この踊りは日本書紀に記された皇極天皇の雨乞いの場面から始まります。
皇極天皇は7世紀中頃の女性天皇で、後に斉明天皇として重祚し、明日香村に伝わる多くの石造物はこの天皇の時代のものと言われています。
天皇自らが雨乞いを行った希少な記述で、場所は諸説あり、現在の奥明日香の飛鳥川上流のいずれかではないかとされています。
稲渕、栢森と、村の方に幾つかの場所に案内していただきました。あるポイントからすっと空気がひんやりとします。古代から隔たった現在でも、空気の違い、聖なる場所という雰囲気が感じられました。

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天皇の雨乞いから一転し、衣装は素朴な野良着となり、松明を掲げ火ふりをし、天に雨を乞う踊りが続きます。稲わらの龍が舞います。このあと躍動感のある太鼓踊りと場面は変わり、最後はこれから完成するということですが、雨を喜ぶ歓喜の踊で締めくくられます。

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かつて、「なも、天」と地上から天へ向けて発せられた祈りの声、踊。
それが今、定例公演や日々のお稽古で、地域の人々の心をつなぐ歌となり、リズムとなり伝えられていること。そのことがとてもあたたかく感じました。

余談ですが、キトラ古墳の展示が東京上野の国立博物館で開かれた際、この南無天踊りも披露され、その後雨が降ったそうです!雨乞いの功は21世紀の今も生き続けています。

(飛鳥アートヴィレッジ取材メモ3)